佐々木まき絵休載日ss

ネギま!休載日に必ず書くss
今日のヒロインは佐々木まき絵


やっぱりまき絵はマイシスター! でも、今回も誕生日ss同様シリアスな・・・
いつもどおり、ヨムヨム

"不安定な二人とふたりのkIzuna"


佐々木まき絵は不思議な空間にいた。
「ここは・・どこなんだろう? 」
見渡す限り一面の荒野。熱風が吹きつけ制服を着ているまき絵は汗がびっしょり。
「なんだか暑いなぁー。だれかぁー。」
声を張り上げるが反応がない。
「どこなんだろう・・・。」
とぼとぼ歩いていると、はるか先に小学生くらいの女の子。
「ねぇ、あなた、誰? 」
その女の子はにっこりしたがその名前を聞かないままたたき起こされる。
まき絵まき絵! 」
まき絵さん? 」
気がつくと教室。どうやら夢を見ていたらしい。そこにいたのは綾瀬夕映大河内アキラ
「・・寝ちゃった。」
まき絵、大丈夫? 」
「まったく、まき絵さんは危機感がないです。」
「えへっ。」
「最近、疲れてない? 」
大河内アキラの問いかけに首を振る佐々木まき絵
「他の人は? 」
「帰ったですよ。私は・・その・・・。」
「そうだよね。じゃあ、帰ろうっか? 」
「私も・・・付いてっていい? 」
「いいよ。」
まき絵さんはいつでもあっけらかんとしているです。なんだか私は…。」
「大丈夫だよ。」
ずきずきする頭に手を当ててはうつむく綾瀬夕映に対してそっと抱きしめる大河内アキラ
綾瀬夕映の部屋に行くとドアの目の前には一人の女の子が。
「あっ、この前のワンちゃんだぁ〜。」
「ち、ちがうの〜。」
「・・・明菜さん、どうしたですか? また、優花さんとけんかしたですか? 」
「ち、ちがうの〜。・・・お勉強を教えてほしくて・・・本当はいけないんだけど・・・。」
どうやら長谷川千雨に聞いて教えてもらったのだがどうも引け目を感じていたらしい。
「そういうところだけまじめなんですね。でも、私はそんなことでは怒らないですよ。」
と、頭をなでてあげると興奮したのかイヌミミがひょっこり。
「・・・ホントだ。」
「はうはう〜。はずかしいょぅ〜。」
「まあ、こんなところで話すのもなんですから入るですよ。」
「じゃあ、私夕飯作ってあげるね。明菜ちゃんもアキラも食べるでしょ? 」
「…いいの? 」
「…いいんですか? 」
大河内アキラも大西明菜もきょとんとするが佐々木まき絵はにっこり。
「ほら、私バカだから。勉強の邪魔したら、いけないかなって。」
「恐縮するです。」
そういって綾瀬夕映大河内アキラは大西明菜の勉強を教えてあげることにして佐々木まき絵はキッチンに。
しかし、仲良くしている綾瀬夕映を見てさびしげな目で眺める佐々木まき絵
「私、おべっか焼いているのかなぁ…。そんなこと無いよね。」
と、手馴れた手つきで料理を作る。出来たのはカレー。
「あ、ありがとです。」
「わぁーい。」
「毎日やっているの? 」
「昔はね。でも、最近は学食に出てくることができるから食べているんだよねっ。」
「…ハイ。まき絵さんがいるおかげでなんだか元気が出てくるですよ。」
と、ニコニコ話している間も大西明菜は食べ続け口にはカレーがびっしり。
「あの、お代わり…。」
そのことにびっくりする3人だが佐々木まき絵はにっこり
「ゆえちゃんのために作ったんだけど・・・いいよ。」
「明菜さんはよく食べるですよ。」
綾瀬夕映もにっこりしているが呼び鈴が鳴る。綾瀬夕映が開けるといたのは明石裕奈和泉亜子
「ここにいたん。」
「もう、探したよ〜。」
「ごめん、ごめん。」
そんななか大西明菜が恐縮してしまう。
「どうかしたの〜。」
「わ、わたしここにいたら・・・。」
「…大丈夫だよ。みんな優しいお姉さんだから。」
「恐縮しなくてもいいんやで。」
とニコニコしているが佐々木まき絵だけは少し曇りがちな目をしていたのだった。




「もう、こんな時間!! 」
それからしばらくたったある日の夕方。佐々木まき絵は慌てふためいていた。
「今日はゆえちゃんと一緒にお勉強する約束していたんだ! なのに部活が長引いちゃった! どーしよう。」
慌てふためくように寮へと戻るが入り口には一人の女の子が。
「あれ? 」
面識は無いはずなのだがなんだか知っているような気がする。
「(あの子って夢に出てきた…。)」
にべも無くその女の子に話しかける佐々木まき絵
「ねぇ、どうしたの? ここは中等部の寮だけど? 」
「明菜見なかったかにゃー? 」
「明菜ちゃんって…あのイヌミミっ子? 」
こっくりうなづく女の子
「最近、よそよそしいからさぁー。それにこんな時間までどこほっつき歩いているのか心配だし…。」
「私、知ってるよ。」
「お姉さん、知ってるの? 教えて? 」
「いいけど・・・明菜ちゃんとどんな関係なの? 名前とか教えてくれない? 私は、佐々木まき絵。」
「わたし? わたし 、相原優花って言って明菜ちゃんと一緒に暮らしているんだ。」
「かわいい名前だね。」
「そ、そんなこと無いですよ。」
そういって相原優花の手を引っ張る佐々木まき絵綾瀬夕映の部屋に入ってノックするとベッドですやすやと寝ている綾瀬夕映と大西明菜。
「寝てる…。」
「優花、帰るよー。」
と、起こそうとする相原優花を止める佐々木まき絵
「そっとしておいてあげよ。」
そういってリビングで見守ることに。相原優花はふと疑問に思ったのか佐々木まき絵に尋ねてみることに。
「綾瀬さんって言ったんだっけ…。何で世話してあげているの? 」
「事故に巻き込まれて記憶喪失になったんだって。私誓ったんだ"守ってあげる"って。」
「ふーん。」
「ねぇ、優花ちゃん、明菜ちゃんのことどう思っているの? 」
とっさに振られた相原優花は顔を真っ赤に。
「わたしは・・・明菜見たいにまっすぐになれないんだ。だから、明菜があそこまでぞっこんになっていると…。」
「妬いてる? 」
「そ、そんなこと無いよ!! 」
「強がっちゃって。・・・でもね、わたしも優花ちゃんと同じ気持ち。かも知れない…。」
と、遠い目をして眺める佐々木まき絵
「お姉さんも!? 」
「お姉さんなんて恥ずかしい。」
「じゃあ、なんて? 」
「まきちゃんがいいかな。」
「・・・まきちゃん。」
恥ずかしながら呼びかける相原優花。なぜだか抱きしめる佐々木まき絵
「正直になるのが一番だよ。」
そうこうしているとおきだしてくる綾瀬夕映と大西明菜。
「あ、まき絵さん。申し訳ないです。…明菜さんと一緒に昼寝をしてしまったようです。」
「ううん、気にしてないよ。気持ちよく眠れた? 」
「はい。なんだかわたしも疲れていたみたいで…。」
「優花ちゃんも来てたんだ。」
「明菜さぁ…。好きになるのはいいけれど。共倒れになっちゃうよ。」
と、相原優花は相変わらず冷めた目で二人を見つめる。
「わたしは、大丈夫だよ。で、無いと…。」
「そうだ、みんなでお風呂行かない? 」
大西明菜の声を遮るように佐々木まき絵が提案する。
「良いんですか? 」
「この時間なら…誰も入ってこないです。…いいですよ。」
「でも、着替えとか…。」
「大丈夫だよ。ちゃんと優花ちゃんの分も持ってきたから。」
と、かばんの中には二人分の着替えが。あまりの手際のよさに相原優花も目を点に。
「じゃあ、いこっか。」
と、4人で仲良く大浴場へ。案の定はしゃぐ大西明菜と目を丸くする相原優花。
「すご…。」
「でもね、すごいときになると100人位入ることが出来るんだよ。」
「やっほーい。」
「優花、待つにゃー。」
と、大浴場ではしゃぐ二人を見ながら佐々木まき絵綾瀬夕映はゆっくりお風呂につかる。
「楽しそうです。」
「…毎日、来てるね。」
「ハイ。わたしがさびしいのを知ってかなんだか毎日きているです。でも、彼女には彼女の生活があるのに…。」
「それだけゆえちゃんが慕われているんだよ。よかったね。」
「…それで良いんでしょうか。」
と、綾瀬夕映もうつむき加減に。
「そうだっ。今度の日曜さぁ。ピクニック行かない? 」
「えっ!? 」
「このまえねぇ・・・いい所見つけたんだ。たまには羽根伸ばしたほうがいいよ。決定! 」
そのことを聞いて綾瀬夕映はにっこり
「・・・まき絵さんはいつでも、わたしの心配をしてくれるです。・・・恐縮するです。」
「そんなこと無いよ。だって、クラスメートじゃない。わたしたちはいつでも一緒だよ。」
そういって綾瀬夕映に抱きつく佐々木まき絵。抱きつかれた綾瀬夕映は顔を真っ赤にする。
すると誰かが入ってくる。
「あっ。まきちゃんとゆえちゃんやない。」
入ってきたのは近衛木乃香
木乃香さんが一人なんて・・・珍しいです。」
「そやなぁ。せっちゃんはアスナと一緒なん。で、ピクニック行くんやて? うち、立ち聞きしちゃった。」
「えっ!? 」
目を白黒させてしまう佐々木まき絵。少し考えた後に答える
「いいよ。たくさんで行ったほうがおもしろいもんね。ねっ。ゆえちゃん。そうだっ、後でアキラにも声かけておこ。」
とっさに振られた綾瀬夕映も目を白黒。
「・・・まき絵さん、木乃香さんにアキラさんまで…。本当にいいのですか? 」
「いいよ。」
そういって佐々木まき絵もにっこりするのだった。




「本当にいいんですか? 」
「だって、たくさんで行ったほうがおもしろいもんね。優花ちゃんに、明菜ちゃん。」
「‥ウン。」
「優花ちゃん恥ずかしがっているんだよ。」
と、マンションの下で待っている朝倉まゆみ、上村あや。それに恥ずかしがっている相原優花にニコニコの大西明菜。
本当はピクニックに行くのは二人だったのだが大西明菜がニコニコしているところを朝倉まゆみにつっこまれて口を滑らしてしまった。
それでも、相原優花は冷めた目をしている。
「お待たせー。」
「あっ。このちゃんだぁー。」
と、近衛木乃香を見るなり駆け出していく上村あや。
「久し振りやなぁー。元気しとった? あれ、この子たちは? 」
「いつも一緒の友達なんです。」
「そうなん。」
「あっ、アキラお姉さんだ。」
「…元気だった? 」
そういうと朝倉まゆみもにっこり。
その後にたくさんのお弁当箱を抱えてやってくる佐々木まき絵綾瀬夕映
「結局、大所帯になっちゃった。」
「でも、アキラさんも木乃香さんもついてきてくれるのはうれしいことですよ。」
ふと、佐々木まき絵は恥ずかしがっている相原優花に声をかける。
「どしたの? 冷めた目なんかしちゃって。子供らしくないよ。」
「‥そうだよねっ。」
諭されてにっこりする相原優花。ふと疑問に思ったのか近衛木乃香佐々木まき絵に尋ねる。
「なぁなぁ、今日はどこ行きはるの? 」
「それじゃあ、しゅっぱ〜つ。」
と、佐々木まき絵が案内したのは麻帆良の外れにあるお花畑。そこには一面の菜の花が咲き誇っていた。
と、同時に桜並木も満開でお花見にするにはもってこいの場所だったのだった。
「・・・すごいです。」
目を見張る明菜たち。子供たちはお花畑の中に入り込む。まき絵たちはそれを見ながらニコニコ。
「なんだか、ここだけ別世界です。」
「でしょ? 部活の練習のときに見つけたんだ。」
「まきちゃんのバカもたまには役に立つんやなぁ〜。」
「バカじゃないよ。」
と、膨れてしまうが子供たちがたくさんの菜の花を持ってきた。
「…すごい。」
「たくさんやなぁー。」
「えへへっ。4人で集めてきたんだよ。」
そういうとおなかを鳴らし顔を真っ赤にする朝倉まゆみ。どうやらおなかがすいたらしい。
「そうだっ。この日のためにこのかちゃんとたくさんお弁当作ったんだよー。」
と、たくさんのお弁当を広げると真っ先に食いつく朝倉まゆみと大西明菜。
「おいしぃ〜。」
「わたしたちのためにこういったものを作ってくれるなんて…。」
「いいの、いいの。」
と、育ち盛りの子供たちは佐々木まき絵近衛木乃香の作ってくれたお弁当をおいしそうに食べる。
「あやちゃん、よかったやなぁ〜。」
「ほら、わたしたちも食べないと。」
「ご馳走になるです。」
と、満開の桜が咲き誇る中で楽しくお弁当を食べるまき絵たち。食べ終わるとまた遊びに行ってしまう。
「…なんだか、元気だね。」
「子供は風の子。なんか、お母さんになったみたい。」
それを聞いて顔を真っ赤にする綾瀬夕映近衛木乃香だが考えるのは違っていた。
「わ、わたしがお母さんだなんて…。」
「んな、アスナやネギ君もお子チャマやで。」
しばらくすると相原優花が佐々木まき絵の手を引っ張る。
「‥ねぇ、一緒に遊ぼう。」
引っ張られた佐々木まき絵はにっこり。
「そうだね。ほら、何くつろいでるの? 一緒にあそぼ。」
「・・・そうですね。」
と、一緒に子供たちと遊ぶのであった。




佐々木まき絵は不思議な空間にいた。
「(ここは・・・どこなんだろう? )」
気がつくとどっかのお屋敷の中。そこにいたのは4人の女の子たち。多分、まき絵と同じ年だろう。しかし、様子が違う。
手足を縛られていて身動きが取れない。
「(どっかで見たことがあるんだけど・・・助けないと! )」
と、近づくがすり抜けてしまう。どうやら4人にはまき絵が見えてないらしい。するとそこに、ゴスロリ服を着た少女。
「探したわよ。」
「うちらをどうするつもり? 」
「あなたたちの持っているバラのチョーカー。それがあれば私は元に戻れるのよ。」
「そんな事いわれても・・・・。」
「じゃあ、力づくで奪うしかないみたいだね。」
「(何、何? )」
すると彼女の周りには黒い刃。容赦なく4人を痛めつける。なすすべも無く4人は傷だらけに。
凄惨なシーンに佐々木まき絵は言葉も出ない。
「(ひどい! )」
「やめて! 」
「そういわれて止めると思って? 」
「(かわいそうだよ! )」
傷つくだけの4人を眺めているだけの佐々木まき絵。すると誰かが立ち上がる。
「お願い、やめて! 私が身代わりになるから。」
「まゆみ! 」
「そのかわり・・・・あやとかゆーかとかあきなを助けてあげて。」
「(じゃあ、もしかして、あの子達が…。)」
しかし、確信が持てない。そんな中ゴスロリ服の少女は怪しく微笑む。
「ふふふ・・・いい覚悟ね。」
と、ひときわどす黒い刃が朝倉まゆみを突き刺す。まゆみはその場に崩れ落ち、彼女を守っていたバラのチョーカーが外れてしまう。
「かわいそうにね。さて・・・・。」
朝倉まゆみの願いを聞き入れるまでもなく他の3人を殺しバラのチョーカーを奪って姿を消す。
言葉が出ない佐々木まき絵
「(ねえ、ねえってば!! )」
しかし、声をかけても反応すらない。ただ冷たくなっていくだけの4人を見てまき絵は金切り声を上げてしまう
「(い、嫌ぁー!! )」
まき絵さん! 」
と、誰かに声をかけられて夢から覚める。気がつくと授業が終わった直後。声をかけたのは雪広あやか
「あっ、いんちょ。」
「まったく、居眠りですか? いい身分ですわね。」
「あ、あの…。」
綾瀬夕映がまじめになったと信じている雪広あやかの前で本当のことなんか言えない佐々木まき絵は黙り込んでしまう。
まき絵さん、最近居眠りが多すぎますわ。そんなんで赤点取らないという自信でもあるのですか? 」
「だって、・・・私バカだもん。赤点とってもいいや。」
「他の人ががんばっているのに開き直るなんて・・・佐々木まき絵失格ですわ! 」
「…そうだよね。」
いつものようになじられるが内心、自分では失格と思っているので反論すらせずににっこり。それを見た雪広あやかはなぜか動揺する。
「ま、まき絵さんが・・・失格とお認めになられた。ああ、わたしはどう返せばよろしいんでしょうか? そんなの失格といってしまえば二重否定になってしまう。ああ…。」
その場に崩れ落ちてしまう雪広あやか
「それもこれも…あれ? 」
辺りを見回してみるが肝心の彼女がいない。そんななか、ドアに鍵をかけて自室に戻る。
「私、何やっているんだろう…。ゆえちゃんの記憶だって戻るわけなんか無いのに…。ゆえちゃんは私のことどう思っているんだろう…。私より…。」
と、涙がぽろぽろ。誰もいないのでそのまま泣き出してしまう。こんなところ誰かに見られたら…。
今は、ただ、泣きたい。大切な人も守れないなんて本当に失格かもしれない。泣きつかれてそのまま居眠りしてしまう。
トントン、トントン。誰かがドアをノックする音で目が覚める。
「…寝ちゃった。そろそろ亜子が帰ってくる時間だよね。」
そう思ってドアに手をかけるがそこにいたのは和泉亜子ではなく宮崎のどか
「…本屋ちゃん? 」
ゆえゆえ…こっちに来ていないよね? 」
「えっ!? 何か、あったの? 」
「部活にも来ていないの。」
「他の人は? 」
「見ていないって…ゆえゆえもしかしたら…。」
「わかった、探しに行ってくる!! 」
と、駆け出すように綾瀬夕映を探しに行こうとするが寮の玄関で相原優花とばったり。
「優花ちゃん? 」
「明菜、こっちに…来てないよね? 」
「優花ちゃんも? また、けんかしたの? 」
「そういうわけじゃないけど…。」
「本当のこと、言ったら? 妬いているんでしょ? ゆえちゃんとくっついているのが。」
「…ごめん。まきちゃんには隠し事出来ないや。」
と、ぼそりぼそり話始める。
「はじめは…千雨さんとくっついているのをからかっていたんだけど、綾瀬さんのこと見て明菜がかわいそうに見えたんだよね。自分に何か出来ないかって。…私は止めたほうが良いなって思っていたんだけど、明菜はまっすぐだから。」
「止められなかったの? 」
「見逃していたのかも。私さぁ…冷めているんだとねぇ。多分だけど、明菜、好きになっちゃったんだろうな。私にはそう言うことわからないんだ。…人はいつか一人になるのに。」
「何で? 」
「美月さんや直美さんは私に不思議な"チカラ"があるっていうんだよね。それ隠していたんだよね。でも、明菜はいつでもイヌミミひょっこり。まゆみやあやもたまにぼろってだしちゃうんだよね。・・・私にはそんなこと出来ないや。」
それを聞いていた佐々木まき絵はにっこり。
「だったら、明菜ちゃん助けるためにつかったら? 」
「で、でも…。」
「黙っているから。ねっ。」
そういわれて、相原優花は精神を集中させる。すると足元に魔方陣がくっきり。
「綾瀬さん、明菜。どこにいるの? 」
おぼろげに居場所が描かれる。古い神社が写るが相原優花にはどこだかわからない。
「…学園の端のほうだ。ゆえちゃんらしいや。でも、歩いていったら1時間かかっちゃうかも。」
佐々木まき絵の言葉に吹っ切れた相原優花はふわふわ浮いている。
「飛んでいけばすぐいけるにゃ〜。」
佐々木まき絵に魔法をかけるとまき絵もふわり。
「それじゃぁレッツゴ〜。」
と、その神社へとむかって飛んでいく二人。ふと疑問に思ったのか佐々木まき絵は相原優花に尋ねる。
「私は良いけど…。他の人に見つかったら…。」
「大丈夫だにゃ〜。私のそばにいれば認識阻害になっているからよっぽどのことがない限りばれることは無いよ。」
「そうなんだ。でも、きれいだねぇ〜。」
町の明かりを見て目を輝かす佐々木まき絵
「まきちゃんって意外とお子チャマなんだにゃ〜。」
「優花ちゃんだって子供だよー。」
そういわれて顔を真っ赤にするが様子がおかしい。
「あっ、時間ぎれだぁ〜。」
墜落する相原優花をつかむが佐々木まき絵も一緒に墜落してしまう。
「わ、お、落ち、落ちちゃう〜!! えーい!! 」
と、とっさにリボンを出して木に引っ掛けたので地面に叩きつけられることだけは避けられた。
「ご、ごめん〜。」
「でも、神社の近くだよ。ほらっ。探しに行くよ。」
「…そうだよね。」
そういって、二人がいるはずである神社へと走り出した。




麻帆良学園の外れの古びた神社。ここに綾瀬夕映と大西明菜が居た。
家出をするといったのは綾瀬夕映のほう。1回やって失敗しているので用意を周到にしていくつもりだったが相原優花とけんかをしたのか大西明菜も荷物をもってばったり。
二人で家出をすることに。
「あ、綾瀬さん。…こんなことして。」
「…まき絵さんは私のためのことを思って守ってくれるです。でも、私はまき絵さんのために何もできないです。私がいなければ…まき絵さんは苦労をしないです。」
「私がいたからですか? 」
「そんなこと無いですよ。私には…あそこにいることがつらいのです。誰かが言ってました。"でかい悩みなら吹っ切るな、抱えて進め"って。でも、私には抱えるのがでかすぎるのです。」
「これから、どうするのですか? 」
「おぼろげな記憶に…頼れる人がいるです。そこにしばらくは…。」
「…誰か、来ます! 」
大西明菜のイヌミミがひょっこりと反応する。何とか隠れようとするが声を聞いて血の気が引く。
まき絵さんと…優花ちゃん!? 」
「二人には隠し事ができないようですね。事情を話すですよ。…多分、わかってもらえないとは思うのですが…。」
そういって二人は外に出るが、佐々木まき絵綾瀬夕映に会うなり彼女をひっぱたく。
「ゆえちゃんのバカ! もう、知らない! 」
沈黙が周りの空気を支配する。綾瀬夕映もなんとなくではあるが彼女と目をあわせづらいのか背けがちに。
「やっぱり、共倒れだったんだね…。」
「行こ。」
そういって佐々木まき絵と相原優花はその場から立ち去ってしまう。
「そんなのって…。」
「多分ですが…。わからずやの私をわかってくれるのはまき絵さんだけですよ。明菜さんは優花さんに謝らなくって良いのですか? あんだけわかってくれるひとも居ないですよ。」
そういわれて黙り込んでしまう大西明菜。
「…帰るですよ。まき絵さんはああいっても心配してくれているんですから。」
「私も、ちゃんと話さないといけないかも。」
と、立ち上がって帰ろうとすると誰かが声をかけてくるのだった。




佐々木まき絵の部屋で背中合わせにうつむく佐々木まき絵と相原優花。
二人とも自分の大切な人にひどいことを言ってしまったと言う罪悪感でいっぱい。
「私…ゆえちゃんにひどいことしちゃった。」
「やっぱり…私、素直になれないんだ。」
「そんなこと無いよ。明菜ちゃんはわかっていると思うよ。きっと我慢してたんだよ。」
と、励ましてくれるが佐々木まき絵は沈み込んだまま。
「まきちゃん…。」
すると、誰かが入ってくる。入ってきたのは大河内アキラ
まき絵まき絵! 」
「アキラ、その、私…。」
まき絵は・・・失格じゃないよ。」
「だって、私ゆえちゃんの事守るって言ったのに守ること出来なかった! それだけじゃない! みんなに迷惑かけてばっかりで…。」
泣きながら大河内アキラに守ることの苦しさを語る佐々木まき絵を抱きしめるだけ。
「努力しているよ…。みんなはまき絵が迷惑かけているなんて思ってないよ。まき絵はバカだけど…バカなりにがんばっているよ。」
「本当に? 」
まき絵は…すごいよ。言われなくてもそういうことが出来るんだもの。苦しくてもずっと笑っていられる。ずっとうらやましいと思っていたよ。私は、そんなこと出来ないから…。ゆえは気づいていると思うよ、ずっと笑っていられること。逃げるためでも、うそでも良いんだよ。たとえ、そうでもまき絵が持っている"魔法"なんだから…。」
「アキラ…。」
「私はずっと見ていたんだよ…。ゆえがやさぐれてもずっとそばに居てあげた。多分、私だけじゃないよ。助けられているのは…。」
「…私もです。」
申し訳なさそうに綾瀬夕映と大西明菜が出てくる。まき絵が怒って立ち去った後、大河内アキラがやってきて励ましたのだった。
いうなれば揺れ動く二人の気持ちを理解してそばにいてあげた。
「…ほら。」
「さっきは…ごめんね。」
まき絵さんは…謝る必要がないです。ずっとそばにいてくれたです。一人ぼっちな私を励ましてくれたのは…まき絵さんだけです。」
そういって泣き出してしまう綾瀬夕映を抱きしめるだけ。そして、大西明菜も相原優花に近づく。
「優花ちゃん…ごめんね。寂しかったんだよね。私、優花ちゃんの気持ちがわかってあげられなくって…。…ずっと、一緒だよ。」
「いまさら、わかってもらおうなんか…。だって、明菜はまっすぐだもん…。私が…。」
いつもどうり冷静を装うがそれすらも出来ずに泣き崩れてしまう。抱きしめる大西明菜。
「寂しいなら、寂しいって言ってくれれば良いのに。優花ちゃん、そういったところだけ意地っ張りなんだから。」
「・・・ありがと。」
「優花ちゃんよかったね。そうだっ。夕飯作ってあげる。食べるよね? 」
「待って、私も手伝う。」
「…私も、手伝っても良いですか? 」
「…ありがとっ。」
そういって3人でキッチンへと向かったのだった。




それからは大西明菜も綾瀬夕映のところに毎日来ることも無くなったがたまに相原優花を連れて遊びに来ている。
相原優花も嫌がりながらついていくが結局のところ、佐々木まき絵に会うのが楽しみらしい。
そして、冷めた目をすることもなく明るさを取り戻していた。よっぽど二人でいるのが楽しかったのだろう。
とある日曜日、佐々木まき絵綾瀬夕映を外に連れ出す。
「いったい、どうしたのですか? 」
寮の外にいたのは相原優花と大西明菜。
「一緒にあそぼっ。」
「ほらほら、中にいたら退屈かなぁと思ってさぁ…。」
「…まったく、みんなそろってバカなのですよ。」
あざける綾瀬夕映を笑う佐々木まき絵
「だって…ゆえちゃんだってバカなんでしょ。」
そういわれた綾瀬夕映もなぜだかにっこり。
「…そうでしたね。」
そういって仲良く駆け出すのであった。

補足
二人と二人・・・
記憶喪失になった綾瀬夕映を必死に守ろうとする佐々木まき絵。その綾瀬夕映の苦しみを知り何とか立ち直らせようとする大西明菜とそのまっすぐさを心配する相原優花・・・。


まじでぐちゃぐちゃに入り乱れる人間関係。そのほつれを直すのが大河内アキラ・・・。
そして、真ん中に入る意味深な夢・・・。*1


果たしてこれが彼女に影響するものは・・・


それと、訳ありな子供たちとそれにかかわる人がすべて出揃った・・・*2
ただ、いつかけるかはわからない。

*1:"Never Ever"でエヴァ様が見た夢と同じもの

*2:宮崎のどか長谷川千雨は出せなかった