大河内アキラ誕生日SS*1
今日はちょっと長いので続きを読むにしておく
"夏の日のマーメイド"
「ヨーイ、スタート! 」
と、同時に飛び込む水泳部員達。もう大会までは1ヶ月を切り、部員達は練習に余念が無い。
ひとりの少女がトップでタッチをするが計測係はなぜか浮かない顔。
「アキラ、どうしたの・・・。」
「・・・そんなに、遅い? 」
そう尋ねられて頷く計測係。聞いたのは"麻帆良のマーメイド"こと大河内アキラ。
水泳部でもエースを張っている人間でもあるが、最近壁にぶつかったのか、のびない。
「何かあった? 」
「・・・なんにも。」
「もしかして、お子チャマ先生に惚れた? 」
と、尋ねられてすぐさま否定する。お子チャマ先生と言うのはアキラの担任でもあるネギ・スプリングフィールドのことである。
「・・だったら、いいけど。大会まであと少ししかないんだからね。」
と、釘を刺されて頷くだけのアキラ。
「ハーイ。もう1本行きマース」
そういって、またいつものように練習を再開するのであった。
「・・・スランプ? 」
部活終了後体育館の休憩室で考え込むアキラ。確かに、学校行事とかいろんなことがあったけど練習に手を抜くなんてことはしない。
それとも遊びすぎた? 一人首を振る。そんな時間がしばらく続くと、誰かが後ろから声をかけてきた。と、同時に冷たい感覚が走る
「どーしたのよ?! 」
「・・・ひゃっ!? 」
もしかして、白馬のプリンス? でも、うちの学校は女子校だし。考える男子は一人しかいないけどまさかと思いつつ後ろを振り向くと同じ運動部仲間の明石裕奈だった。
「どーしたのよ? いつものアキラらしくないよ。
「・・・ちょっとね」
「もしかして、部活のこと? 」
コクリと頷くアキラ。
「部活のことで悩むなんてアキラらしくないって。」
「・・・でも。」
「アキラはみんなが期待しているんだって。」
と、柄にも無いことを言うゆーな。
「・・・バスケ部は弱いのに? 」
「えっ!? 」
あまりの強烈な一撃に凍りつくゆーな。
「ほ、ほら、うちの部活ってさ種類によって強い・弱いってあるじゃないってさ。・・・はははっ。」
「(・・・明らかに動揺してる。まあ、ゆーなに聞いてみたところで無駄、かな? )」
一人でたじろぐゆーなをよそにアキラは深いため息をついた。
「・・・夕飯終わったらまた、練習かな? 明日は休みだし」
「・・・ヨーイ、ドン! 」
と、水に入った状態でストップウォッチを押し練習を始めるアキラ。一人のときはこのストップウォッチを自分で押して1往復するまでタイムを計る練習をやっていた。
それで自信がつくのだからと誰もいないプールで月明かりの下練習を続けていた。
「・・・遅い。」
ストップウォッチを見てため息をつく。確かに自分が好調のときにはこのタイムよりも何秒かも早い。
「・・・よーし、もう1回。」
と、自分でストップウォッチを押し、また1往復する。しかし、1往復するとそこにあったストップウォッチが無い。
「・・・無い。」
「・・・40秒ですか。早いですね。」
「・・・誰? 」
顔を見上げてみるとメガネをかけた少年。ネギ・スプリングフィールドが立っていた。あまりのことに顔を真っ赤にするアキラ。
「・・・こんな時間まで練習ですか? 熱心ですね。」
「・・・ウン」
「でも、少し壁にぶつかっているんですってね。ゆーなさんから聞きましたよ。」
「・・・心配、してくれたんだ。」
「・・・アキラさんだったら大丈夫ですよ。よろしかったら、ボクが練習相手になってあげますよ」
「・・・でも? 」
「大丈夫ですよ。僕もちょっと戻りたくなかったんで。」
あまりの提案にびっくりするアキラだったが練習相手になってもらうことにした。それよりも一人でやっていると気が滅入るものである。
練習といっても大会直前なのでほぼ1対1の勝負で行なうことにした。しかし、相手はお子チャマでもあるアキラもそこまでひどくは無い
「・・・5秒もですか? 」
「・・・大丈夫。」
「わかりました。相手が水泳部員だからといって容赦はしませんよ。」
と先にスタートするネギ。5秒きっかりにスタートするアキラ。しかし、結果は火を見るよりも明らか。ゴールする頃にはネギを遥か彼方に抜かしてしまった。
「すごいですね。やっぱり水泳部員! 」
タイムを見て満足しないアキラ
「・・・物足りない。もう1回」
「ええっ!? 」
と、今度は10秒先に行かせてスタートをする。簡単には抜かせるけどやっぱり物足りない。
「・・・もう1回!
「アキラさん、無理しすぎです!! 」
3セット続けての志願にやめるよう促すネギ。しかし、アキラの意思は変わらない。しかも今度は25m行くまでスタートしないと言う。辞めるように言うネギだったがアキラはあきらめずしぶしぶ挑戦を受けて立つ。
「・・わかりました。」
と、先にスタートするネギ。アキラはまだスタートしない。そうこうしている内に25mラインにタッチするネギ。
「・・・よしっ。」
と、アキラもスタートをする。ネギを先に生かせている文、スピードを上げていかないと勝てない。ましてや相手はもう半歩先に行っているわけだから
「・・・この感じ。」
と、何度か泳ぐうちに感覚をつかみかけ。半分ターンをしてネギを抜かしにかかった瞬間。アキラの足に激痛が走る。どうやらネギの言う通りらしく無理がたたり足がつったかもしれない。当のネギは気づかずに泳いでいる。
「・・・何とか立てれば。」
と必死にコースロープをつかむが足の感覚がだんだんと無くなっていく。そのうちに手にも力が入らなくなっていきそのまま水の底に沈みそうになってしまう。
「・・・助けて。」
と、か細く叫んで、そのまま沈んでしまったのであった・・・。
「アキラさん! アキラさん! 」
「・・・ここは何処? 」
「プールサイドですよ。アキラさん、コースロープに手をかけていたから何かあったのかと思ったらおぼれかけていたから助けにいったんですよ。でも、もう少し遅かったら本当におぼれていましたよ。
「・・・ごめんなさい。」
「そんな。ボクはただ、紳士らしく行動をしただけですよ。でも、アキラさんの壁にぶつかっている原因、わかったような気がするかもしれません。」
「・・・えっ? 」
「・・・アキラさん、少し気負っていたんじゃないんでしょうかねぇ?」
気負っていたといわれ少し我に返るアキラ。
「アキラさん、自分で出来るできるって思い込んでいただけなんですよ。少し背伸びしないと本当に自分で窮屈してしまうだけですよ。それに他の人にも相談しないと、ゆーなさんとかまき絵さん亜子さんとかみんな心配していましたよ。」
「・・・でも。」
「そういうところが、アキラさんの悪いところですよ。」
「・・・そうかも。」
と、何だか胸の痞えが取れほっとすると同時に誰かがずかずかとやってくる。
「こらー。ネギ!! こんなところで何やっているのよ!! 」
声の主はネギの同居人である神楽坂明日菜。
「あ、明日菜さん。何でここが・・? 」
「ゆーなから聞いたのよ。それよりもネギ。今日はちゃんと頭洗わないとね。ネギ。」
「そ、それだけは・・・。」
「何言っているのよ。あんた何日も頭洗わないとクラスのみんなに嫌われちゃうよ。ほら、アキラさんもなんか言わないと。」
「・・・がんばれ。」
「えっ、えー!! 」
と、ネギはそのまま明日菜にひきずられどっかに消えてしまった。
「・・・がんばる。」
そして、何日かすぎ、大会がやってきた。スタート台に立つ明。その顔から迷いから吹っ切れたようでもあった。
「ガンバレー!! 」
「・・・ウン、がんばる」
大河内アキラは仲間からの応援を背にスタート台へ向かったのである
"まほらのマーメイド"大河内アキラの誕生日SS。
実を言うとこの系さんところで明日が大河内アキラの誕生日だということを知ってSSを書くことを決意
・・と言うか誕生日SSなんてシスプリ鈴凛以来だって。
・・マジで自信ありません。