深い深い森の中でVol.9

いよいよ最終回!
綾瀬夕映が最後に見つけたものは…?

綾瀬夕映はプールサイドで浮かない顔をしながら足をばしゃばしゃしていた。
何かの声に導かれたと思えば連れ戻されお仕置きとばかりに小学生の姿にさせられてエヴァンジェリンの別荘の中に投げ込まれた。
「結局…私がしてきたことはなんだったのでしょうか…。」
「ん? 浮かない顔をしているな。綾瀬夕映。」
と、そこへやってきたのはEvangeline.A.K.McDowell。一応この別荘の家主である。
頭をなでたかと思えば豪快に笑い飛ばすエヴァンジェリン
「ったく、たいしたものだよ。誰も解けない忘却魔法かけたと思えば家出か。たのしかったか? 」
「そ、そんなこと!? 」
「ん? どうした? 何か不満か? 」
「普通逆ではないのでしょうか? ここは1日が現実世界の1時間です。忘却魔法を解くには時間がかかるですよ。」
と、もっともらしいことを言うがエヴァンジェリンは逆上。綾瀬夕映の頭をぐりぐりすることに。
「まったくお前はどうしてそんなに根性が捻じ曲がっているんだ! 」
「あうあう〜。」
「本来だったら矯正してやりたいところだがあいつに言われるのもしゃくだからな。せっかくなんだから息抜きでもしろ。あいつはもう適応しているぞ。」
「はぁ…。」
と、指差した先ではしゃいでいるのは佐々木まき絵で無茶を言っては茶々丸シスターズを困らせていた。
「よーし、今日は500メートル泳ぐぞー。茶々丸さんも付き合ってぇー。」
「あ、あの…私は防水仕様ではないので…。」
「なぁんだ。」
と膨れているところへ向かう綾瀬夕映
「私でよければ付き合うですよ。」
「そうだね。そうしたらゆえちゃんも泳げるしね。」
と、なぜかにっこりしているところへまたやってくるエヴァンジェリン
「ああ。そうだ。しばらくするとあいつらがやってくるから少し手伝ってやれ。」
そういうと二人ともうなづくのだった。




「やっほー。」
と、元気に浅倉まゆみたちがやってくる。
「エ、エヴァンジェリンさん…今日もよろしくお願いします。」
「ったく礼儀正しいのは大西だけか。まあ、いいがな。」
「そうだ、バカみつきがエヴァンジェリンさんにこれもってけとかいってたよー。」
「ほう、あいつも気が利く事を。」
と、包みを開けると大量のトカゲの干物が。
「バカみつきが言うには精がつくんだってさ。好きな人いるんでしょ? 」
それを聞いて頭を抱えるエヴァンジェリン
「そうだ、今日は特別な人に先生を頼んだんだ。そいつに練習してもらえ。」
と、エヴァンジェリン綾瀬夕映佐々木まき絵を呼びつける。びっくりしたのは浅倉まゆみたち。
「あ、あれ…。」
「綾瀬さんとまき絵さんって家出してたんじゃ…。」
「あ、うん…その…ごめんね。」
「あやまらんでええで。」
と上村あやはにっこりしていたが綾瀬夕映エヴァンジェリンの後ろに隠れたまま。それを相原優花が引っ張り出す。
「どうしたのかにゃ〜。」
「あ、あの…。」
「ふん、アリアドネー魔法学院を首席で卒業したのに引っ込み思案は直ってないのか。」
と笑おうとすると相原優花が光の矢を飛ばしてけん制する。
「綾瀬さんいじめたらだめだよー。」
「やるか? いつでも相手に…。」
エヴァンジェリンと相原優花でバチバチ火花を飛ばすが佐々木まき絵が間に割ってはいる。
「二人ともけんかしたらだめ! 」
そしてなぜだか恥ずかしがる二人。
「まあいい。綾瀬夕映は相原と大西に魔法を教えてやれ。佐々木まき絵は浅倉と大西の相手をしてやれ。」
エヴァンジェリンが言うと二人ともにっこりしたのだった。




綾瀬夕映が相原優花と上村あやに魔法の基礎を教えていると大西明菜が恥ずかしそうにやってくる。
「どうかしたのですか? 」
「あ、あの…魔法を教えてもらいたい…。」
「明菜の容量だと簡単なのものしか覚えられないにゃ〜。」
と皮肉を言うと顔を真っ赤にして相原優花をぽかぽか。綾瀬夕映は微笑む。
「私はいいですけど…。」
そういうと練習用の杖を渡す。
「えっと…。」
そういって杖を振るが簡単に出るわけなんかなくいじけるが綾瀬夕映は頭をなでる。
「優花さんやあやさんは素質があったからすぐに使いこなせたですよ。でも、努力すればきっと使えるようになるですよ。」
「う・・・うん。」
「がんばるですよ。ほら優花さんとあやさんもサボっていると明菜さんに抜かされてしまうかもしれないですよ。」
そういわれると二人とも顔を真っ赤に。ふと綾瀬夕映は疑問が。
「…でも、何で明菜さんが魔法を? 魔法使いであれば優花さんやあやさんのほうが素質も能力も上のはずですが…。」
「私…綾瀬さんの事好きなの。綾瀬さん、まじめだしがんばりやだしちょっと根暗だけど…。」
と、イヌミミを出しながら顔を真っ赤にする大西明菜に対して綾瀬夕映も顔を真っ赤に。それを見ていた相原優花はやれやれといった顔をしていて上村あやはニコニコ。
一方で佐々木まき絵は朝倉まゆみと一緒に剣の稽古。
「まゆみちゃんすごいね。」
「えへへ、そんな事ないよ。だってまきちゃん運動神経いいし…。」
「そんな事ないって。」
と、二人でニコニコしていると上村あやが恥ずかしそうにやってくる。
「な、なぁ…まき絵さん。うちに剣教えてくれへん? 」
それを聞いた瞬間佐々木まき絵は目を点に。
「え、えっと…確か刹那さんに教えてもらっている聞いたんだけど。私じゃそんなうまく教えられないけど…。」
「それでもええ、だって…。」
「だって? 」
「うち、まき絵さんの事守る誓ったん。」
それを聞いた瞬間佐々木まき絵は顔を真っ赤に。
「な、なんだか恥ずかしいなぁ…。よーし、私が相手になってあげるから二人でかかっておいで。」
そういうと二人そろってかかってくるが新体操で鍛えているのかなかなか当たらず結局二人で正面激突して目を回してしまうのだった。




「何をやっているんだ! 起きろ! 」
「やだもーん!! 」
その翌日といっても外の時間では1時間しか経っていないのだが佐々木まき絵綾瀬夕映は怒鳴り声で目が覚めた。
騒ぎがするほうにいってみるとエヴァンジェリンと相原優花が遣り合っている。
「まゆみさん、どうかしたのですか? 」
「まきちゃんとゆえちゃんと一緒にいるのが楽しいから一緒に居たいんだって。」
二人はそのことに対して目を丸くしてしまう。
「せっかく二人と入れるんだからまだまだ一緒にいるよ! 」
「お前の保護者から1時間で返せといわれているんだ! 少しはいうこと聞け! 」
「やだもーん。」
「あいつに何言われるか…。」
「なぁんですって? 」
相原優花のうしろには仙崎直美が立っているが全員わなわな震えている。
「あ、あの…。」
「どうしたのよ。」
エヴァンジェリンさんの別荘に入ってしまうと24時間出れないのですよ。」
「じゃあ、これからどうすんのよ! 」
「大丈夫ですよ。ここの24時間は現実世界の1時間なのですよ。」
とつとつと語る綾瀬夕映のまえでぼーぜんとする仙崎直美。そこへエヴァンジェリンが。
「ほう、お前がガキ共の保護者か。ようこそわが別荘へ。歓迎するぞ"漆黒の天使"」
「あんたが"闇の福音"かしら? 」
仙崎直美とエヴァンジェリンの間で火花が飛び散るのを見ているだけの子供たち。
「子供たちとは格段に違うけどよろしいかしら? 」
そういうと仙崎直美は漆黒の矢をたくさん展開しエヴァンジェリンに仕向けるが氷の障壁を展開して全部はじく。
「最近ガキ共の相手ばっかで退屈していたんだ。そろそろ本気で活かせてもらうぞ。」
そういうと特大の氷が仙崎直美を襲うが砕いてしまう。
「だからいったでしょ? 私は"悪い"魔法使いよ。」
「私だってそのつもりさ。」
と、どっちも引かずにバトルを展開する二人を見て子供たちは黙ってみているだけだった。




「準備できた? 」
「はーい。」
「あ、あの…。」
「私たちもついていってもいいのでしょうか? 」
それから24時間経った後。仙崎直美のマンションに集まる子供たち。これからどこかへと向かうらしい。
「いいの、いいの。まゆみたちが一緒に行こうって言うんだからね。」
「で、でも…。」
佐々木まき絵は別荘で見たバトルに放心状態。すると仙崎直美は肩をたたく。
「忘れなさい。」
「大丈夫だにゃー。そのうちなれるって。」
と、言う相原優花の頭をぐりぐり。
「でも、私たち着替えとか…。」
と、考え込んでいると向こうの方から声がするので振り向いてみると二つ分のリュックサックを持って村上夏美がやってきた。
「夏美お姉さんや! 」
「ありがとー。」
「でも、いいのですか? 」
「せっかくなんだから羽根を伸ばしてきなさいって宮崎さんが言っていたよ。」
そういって立ち去ろうとするが仙崎直美に捕まってしまう。
「私に子供6人の相手しろって? 」
「えっと…。」
「やったー夏美さんも一緒についてくるんやて! 」
仙崎直美の気迫に負け上村あやが止めをさして結局ついていくことに。
そして、車を走らせること2時間。大きな屋敷の前に車が止まる。
「えっと…。」
「わぁー。すごーい!! 」
「よーし、みんなで手分けして準備開始するよ! 」
そういうと朝倉まゆみは村上夏美を引っ張ってどこかへ。
「あの…。」
「屋根裏に行くにゃー。」
と大西明菜と相原優花は佐々木まき絵綾瀬夕映を引っ張るように屋根裏へ。
「えい。」
窓を開けると眼下に広がるのはうっそうとした森林。
二人とも呆然としてしまう。
「どしたの? 」
「な、なんでもないよ。」
「じゃあ、布団を出そう。」
と、4人で手分けして布団を出すが力持ちの大西明菜がすべて運び出してしまう。
「明菜ちゃんすごーい。」
「は、恥ずかしい…。」
佐々木まき絵が言うとなぜだか真っ赤にするが相原優花は膨れたまま。
「なんだか面白くないにゃ〜。あれ? 」
すると綾瀬夕映が部屋の隅のほうでしゃがみこんでいる。
「どしたの? 」
「あ、あの…。」
と、恐る恐る指差すので佐々木まき絵がつかむとねずみ。大西明菜はとっさに相原優花の後ろに隠れてしまう。
「あ、あの…綾瀬さんは怖くないのですか? 」
「私は図書館で結構見かけるです。あちらこちらかじるのでたまに駆除とかするので見慣れているです。」
「よーし、明菜ちゃんのねずみ嫌いを治すためにみんなでねずみを見つけよー。」
「そ、そんな…。」
と、3人でなぜだかねずみ探しに。しばらくするとしたから声が。
「みんな、何しているのー。そろそろ夕飯…。」
村上夏美が屋根裏部屋に入ると4人はすすだらけに。
「ちょっと、何しているの! それに、手に持っているの…。」
「ねずみですよ。それがどうかしたのですか? 」
「かわいいでしょ。夏美ちゃんもどうぞ。」
村上夏美はそのまま失神してしまい、後でこっぴどく怒られたのはいうまでもない。




その日の夜はみんなで軒下でバーベキューをして6人仲良く大広間で雑魚寝。
その日の朝もご飯を食べ終わると朝倉まゆみたちは難しい顔。
「どうかしたのですか。」
「あのね…宿題しなきゃいけないの。」
「そうですか。」
「がんばらないとね。わたしたちみたいになっちゃうよ。」
佐々木まき絵が言うと全員目を点に。
「どっちにしろ、わたしたちがやったら意味がないですよ。だから…。」
そういうと村上夏美が二人の首根っこ引っ張り二人はじたばた。
「アキラと宮崎さんから聞いたよ。二人とも学校サボっていたんだって。」
「えっと…。」
「それで二人から宿題とかプリント預かってきたから一緒に勉強しなさい。」
村上夏美から言われると二人ともしょんぼりしてみんなで一緒に勉強することに。
勉強が終わると外に放り出される。
「よーし、子供は元気に遊べー。」
と元気よく駆け出す子供たちの中で綾瀬夕映だけ疑問顔。
「まゆみさんは吸血鬼なのに何であんなに元気なのでしょうか? 」
ふと考えながら歩いていると森の中に。
あたりはうっそうとしていて声を上げても響くだけ。
しかしながら綾瀬夕映はなぜだか泣き出そうともしない。そして何かに導かれるように大きな木の目の前に
「なんだか…この気に触っているとあったかい気がするです。」
と木に頬摺りをする。
「もっと…感じていたいです。」
誰もいないのを確認するとおもむろに服を脱ぎ下着姿に。
「なんだか…あったかいです。もっと…。」
と抱きついていると朝倉まゆみが。
「え、えっと…。」
何を感じたのか朝倉まゆみも服を脱いで綾瀬夕映の隣で木に抱きついているのだが綾瀬夕映は気づいていない。
そして手が触れ合いやっと二人気づくが何をどういっていいかわからない状態に。
「ゆえちゃん…。」
「…。」
「変な子。」
「…まゆみさんこそ同じじゃないですか。」
「だって…」
「だって? 」
話そうとした瞬間村上夏美がやってくる。
「!!?! 二人とも何やっているの!! 服を着なさい!! 」
もちろん村上夏美は顔を真っ赤にしたままだった。




「眠れないです…。」
その日の夜中綾瀬夕映はむくりと起き上がる。
もちろん行き先はトイレ。
トイレに行った後も眠れないのかふらふらと歩いていると軒先に朝倉まゆみが。
「眠れないの…ですか? 」
そう尋ねると首を振る朝倉まゆみ。
「待ってたんだよ。」
そういわれると目を白黒させる綾瀬夕映。とりあえず隣に座ることに。
「あのさぁ…。何で家出したの? 」
「ど、どうして!? 」
「のどかおねえちゃんが焦った顔してやって来て直美さんに聞いていたよ。」
「それは…私がかけたです。私のやってきたことはこの世界ではあまり役に立たないです。それに…。」
「それに? 」
「ふしぎな声が聞こえてそれに導かれたのです。今思えば…。」
「何でもいいじゃん! 」
あまりにあっけらかんとした答えに綾瀬夕映は呆然。
「綾瀬さんは考えすぎだよ。自分のしたいことすればいいじゃん。」
「えっと…。」
「私、綾瀬さんの事好きだよ!! 」
何を言い出すかと思えば好きといわれた綾瀬夕映は顔を真っ赤に。
「な、何を根拠に…。」
「好きになるのに根拠なんている? いらないよね。そうだっ。目をつぶってくれる? 」
「こ、こうですか? 」
と、目を瞑るとほっぺたにキス。
「本当はさぁ…血をすおうかなぁとか思っていたけどやめた。だってのどかおねえちゃんやまきちゃんに怒られそうだもん。」
「は、はぁ…。」
「でもさぁ、本当につらいと思ったらおいでよ。綾瀬さんのことみんな好きだし。」
そのことを聞くとなぜか朝倉まゆみに抱きついて泣き出してしまう。
「えっと…なんだか恥ずかしいよぅ。」
「もう少しだけこのままで…。」
と、やっていると佐々木まき絵が眠気眼をこすりながらやってくる。
「眠れないよ〜。」
と、そこに綾瀬夕映が朝倉まゆみに抱きついているところを見て目を白黒。
「えっと…何やっているの? 」
「な、なんでもないです!! 」
「ゆえちゃんだけずるーい!! 」
「ち、違うです、これはまゆみさんが心配してくれて…。」
結局3人でじゃれあっているのだった。




それから何日か仙崎直美の別荘で過ごしリフレッシュした所で学校に戻ることに。
「結局1ヶ月間サボっちゃったね。」
「なんだかんだあったけど羽根を伸ばせてよかったです。」
いいんちょ、怒ってないかなぁ…。」
「大丈夫ですよ。忘却魔法を知っているのはのどかとアキラさんと裕奈さんだけです。」
「そうだよねっ。」
と、にっこりしながら廊下を歩く綾瀬夕映佐々木まき絵
「今回は私がついてきちゃったけど…悪いことしちゃダメだよ。みんな心配しているんだから。」
といわれるとうつむいてしまうがなぜだかにっこりする綾瀬夕映
「わ、わかったです…。」
「でも、楽しかったよ。」
佐々木まき絵がにっこりすると二人は何事もなかったかのように教室のドアをくぐるのだった

補足
最後までgdgdでした。


本来だったら別荘で終わらせようと思ったけどオリジナル設定の子供たちを出すことに
彼女たちはなんだかんだ言ってもまきゆえの事が大好きなのです(ぇ


と、言うわけでパソコンがクラッシュして予定よりもちょっと伸びてしまったけどこのシリーズもおしまい。
まきゆえが書きたかったのです。


10月は休載がないので一月お休みして11月から新シリーズを
といっても10月から毎週ssと村上夏美誕生日ssがあるんだよなぁ…


死ぬ気でガンバリマス。