近衛木乃香誕生日ss

麻帆良のはんなり娘。近衛木乃香の誕生日。
と、言うか誕生日3連発なのにこのちゃんに全力投球する自分ってどーよ。


ひょんなところで知り合った女の子に見せた彼女の優しさとは・・・
いつもどおりヨムヨム

"Panorama-パノラマ-"
「もう春やからってぇー。」
もう、春も近づいたある日近衛木乃香はあわただしくあるいていた。
何でも、春休みも近いので学園長でもある祖父がお見合いを勧めてきた。
確かに、近衛家の跡取り娘としてはわかるのだが…。とはいっても薦めてくる人は年の離れた人ばっかり。
最近は娘の身にもなってほしいと思っている。
「まったくおじいちゃんも難儀な人やわー。」
と、あわただしく歩いているとしゃがみこんでいる女の子が。
「どないしたん? 」
泣きじゃくっているだけだが近衛木乃香が声をかけると泣き止む
「‥転んだの。」
「まったく、このくらいで転んで泣くなんて。しっかりしいや。」
「でも…。」
「しゃあない子供や。何分前に転んだん? 」
きょとんとするがはっきりと答える。
「5分前。」
すると近衛木乃香はすりむいた膝に手を当てる。
「いたいのいたいのとんでけー。」
近衛木乃香の手に周りに光が集まり傷を癒していく。
「す、すごーい!! 」
「二人の秘密やで。そや、お姉ちゃん逃げているんや。」
「逃げて・・いるの? 」
「んな。うち、近衛木乃香いうねん。お嬢ちゃんの名前教えてくれへん? 」
「上村あやだよ。」
「ほな、いくで。」
「まってよー。」
そういって、近衛木乃香は上村あやを引っ張っていくのであった。
連れて行ったのはスタバ。一歩間違えれば姉妹にも見えなくはないがそんなことお構いなしにくつろぐ
「良いんですか? 」
「気にせんといてや。おじいちゃんもこうなることわかっとるんやから。」
と、上村あやはオレンジジュースを飲みながらうなづいていた。もちろん近衛木乃香のおごりである。
ふと思いついたのか上村あやが近衛木乃香にお願い事をする
「あのぅー・・私もお姉さんみたいにきれいに・・なりたい。」
「えっ!? でも、どないして? 」
「・・私、他の友達と比べて社交的じゃないし、かずにぃからよく子ども扱いされるの。わたしだって女の子らしいとこ見せたい。」
思いがけないことにびっくりしてしまう近衛木乃香。しばらく考えた後こういって答える
「そうだ、今度の日曜におぶ会に誘われとるんそやけども・・あたしが話しつけてあげる。」
木乃香お姉さん、ありがと!! 」
上村あやから目を輝かせて感謝された近衛木乃香は少しだけ目を点にする。
「元気な子供やなぁー。」
しばらくすると誰かがやってくる
「何だ、こんなところにいたんだ。」
「あっ、かずにぃだ。」
と、声をかけてきた青年のほうに駆け寄っていく上村あや。
「どうしたんだあやっち。」
とりあえず事情を兄代わりの結城和人に話す上村あや。
「へぇー、この人があやちゃんのお兄はんなんだ。」
「ほら、あやもこの人にお礼を。」
と、促されてぺこりとお礼する上村あや。
「ほら、帰るぞ。」
「もう、そない時間なんだ。」
ふと時計を見ると夕方。近衛木乃香もほとぼりが冷めただろうと思って帰ることに
「じゃあ、お姉ちゃん、日曜日ねぇー!! 」
「楽しみにまっとるよー。」
そういって上村あやと結城和人と別れたが寮に戻って桜咲刹那にかんかんに怒られたのはいうまでもない。




そして、日曜日。
「じゃあ、かずにぃ。行ってくるね。」
「付いて行かなくていいのか? 」
「かずにぃはあやのこと子供扱いするぅ。あやだって子供じゃないんだよ! 」
と、膨れる上村あやを見て唖然とする結城和人。
「じゃあ、行ってくるね。」
と、一人で近衛木乃香との待ち合わせのために家を出る。
「ここでいいんだよね…。」
と、寮の前でどきどき。しばらくすると近衛木乃香が着物姿で出てくる。
「お待たせー」
「あ、木乃香おねえちゃん。」
「お姉ちゃんなんて恥ずかしいわ。"このちゃん"って呼んでくれへん? 」
「…このちゃん。」
このちゃんと呼ばれて喜ぶ近衛木乃香
「それにしてもきれいなおべべやなぁー。」
「あ、ありがとうございますっ。」
「かずにぃに選んでもらったん? 」
「ち、違います。レン姉が選んでくれたんです。」
服をほめられた上村あやは顔を真っ赤に。
「ほな、いこか。」
と、お茶会へと向かう。着いた先は和風な建物。そこにいたのは絡繰茶々丸
「あっ、おはようございます木乃香さん。その子が、この前言っていた…。」
「そや。」
「あの、このちゃん、あの人、ロボ、ロボ、ロボだよ! 」
絡繰茶々丸を見てなぜだか慌てふためく上村あや。
「それがどないしたん? 」
「まゆみさんから話、聞かれなかったのですか? 」
「そ、そうだけど、話かけられるなんて思ってもいなかったし…。」
「まゆみちゃんって? 」
「上村さんのお友達です。」
絡繰茶々丸は朝倉まゆみのことを知っているが近衛木乃香はきょとんとしてしまう。
「つれてきたらええのに。」
「まゆみちゃん5分とじっとしていられないんです。明菜ちゃんも、優花ちゃんも同じようなタイプで私だけ落ち着いているってうらやましがれるんです。」
「それは大変やなぁー。」
「上村さん…申し訳ないんですが、着物に着替えてくれませんか? 」
「で、でも…。」
「ちゃんと用意はしてあります。木乃香さん、お願いできますか? 」
「ほな。」
と、近衛木乃香が上村あやのお洋服を脱がして着物を着せようとするが背中には大きな傷が。
「これ、どないしたん? 」
聞かれたとたんに沸騰してしまう上村あや。しかし、それ以上に近衛木乃香もつっこもうとはしない。
「私も、よくわからないんです。」
「ええで。それもあやちゃんの特徴なんやから。ほな。」
「お似合いですよ。」
3人で茶室に入るとこれまた上村あやと同じ背格好の女の子がちょこんと座っているが存在感で近衛木乃香の陰に隠れてしまう
「大丈夫やで。」
「‥嫉妬ですか、マスター。」
すかさずEvangeline.A.K.McDwellに突っ込む絡繰茶々丸
「しばくぞ。ったく、このかが客人を連れて来ると聞いていたがまさか、おまえとはな。」
「えっと…どなたですか? 」
思いっきりすっころぶEvangeline.A.K.McDwell。
「お前の仲間は天然ボケの集まりか! 」
「マスター、落ち着いてください。」
「何や、エヴァちゃんしっとるん? 」
「まあな。ほら、座れ。さめるぞ。」
そういって正座をする3人に対してEvangeline.A.K.McDwellが茶を立てる。
「まず、お前がお手本を見せてやれ。上村はこう言ったもの参加しそうもないからな。」
そういって、近衛木乃香の前にお茶が手渡される。すると近衛木乃香は手馴れた手つきでお茶をすする。
「結構なお手前で。」
「ほら、今度はお前の番だ。」
と、今度は上村あやの番。
「えっと…。」
と、近衛木乃香のほうを振り向くと近衛木乃香はにっこり。
「こう、ですか? 」
と、見よう見まねでお茶をすする。
「なかなかさまになってるぞ。」
と、Evangeline.A.K.McDwellがにっこりしたのもつかの間上村あやは渋い顔をする。
「にがーい。」
「何だよ・・お子チャマ用に薄めたつもりなのだが。」
「上村さん・・これを。」
と茶菓子を薦める絡繰茶々丸。その茶菓子を食べてにっこりする上村あや。
「よかったやなぁ。」
と、お茶会は終わりに近づいたとき上村あやは目を白黒させる。
「どないしはったん? 」
「足が…痺れた。」
立とうとしてもなかなか立ち上がれず前につんのめるようにして転んでしまう。
それを見ていたEvangeline.A.K.McDwellは笑っていたのであった。




「あの…。」
「恥ずかしいことやないえ。初めてにしては上出来やったん。」
と、近衛木乃香にほめられて上村あやは顔を真っ赤に。
「・・ひとつだけ聞きたかったことがあるんです。」
「どないしたん? 」
「このちゃんって・・どうして、そんなにやさしいんですか? 」
「そやなぁー。」
と、聞かれた近衛木乃香は考え込んでしまう。
「あ、あのっ! 聞いたら・・いけないことでした? 」
「んなことないえ。・・・うちに仲のよいクラスメートおるん。せっちゃんいうてな。せっちゃん、堅物やねん。でもな…。」
「でも? 」
「せっちゃんも、あやちゃんみたいにな"自分は幸せになったらいけない"みたいなこと考えていたん。でもな、いろんな人とつきおうてな。どんどん心ひらいたん。何や、あやちゃん見ていたらせっちゃん思い出してな。」
「その人にあってみたい…。」
「ええで。でも、今日は遅いからまた今度やな。」
ふと空を見ると夕暮れ時。
「このかさん…。本当に今日はありがとうございました! 」
「そんな、急にかしこまらんでも…。送らなくてええん? 」
「大丈夫です! 私ひとりで帰れます! 」
と、すたすた行ってしまう上村あやをこっそり追いかける近衛木乃香
「私…このかさんに、本当の事言ってない…。私、みんなのことを幸せにするのが役目なの…。でも、かずにぃやレン姉やこのかさんとか…。」
と、考え事をしながら歩いている上村あや。それをこっそりつけている近衛木乃香
「(何や、寂しそうな目、しとる…。)」
「私は幸せになっちゃいけない…でも、わたしも幸せになりたい…。」
ふと、横断歩道の真ん中で足が止まってしまう。信号は青から赤へ。
「(あやちゃん、危ない! )」
上村あやの目の前にはトラックが。急ブレーキをかけるが止まれそうもない。
「!!?! 」
ふとわれに返って目を向けるとトラックが目の前に。
「嫌、嫌ぁー!!! 」
と、しゃがみこんでしまう上村あやの目の前に近衛木乃香が。
「お願いどす、止まってな! 」
とっさに飛び出してきた近衛木乃香をよけきれるわけもなく跳ね飛ばしてしまう。地面に叩きつけられて動くこともできない。
「このかさん、このかさん! 」
とっさに駆け寄るが流血をしている。声をかけてもゆすっても反応すらしない。その傍らでトラックの運転手はパニックに。
「おじさん、救急車を! 」
と呼んでいる間も何とかしようとするが何もできない。
「わたしのせいで…こんなことに…。」
ぐったりとしている近衛木乃香の傍らで涙を流す上村あや。そして、意を決したようにそっと手を添える
「お願いです‥わたしに力を‥貸して! 」
そう願うと、上村あやの背中から光の羽が飛び出し近衛木乃香を癒したかと思えばそのままばったりと寄り添うように倒れてしまったのであった




「お嬢様、お嬢様! 」
「このか、このか! 」
「ここは…? 」
「病院ですよ。お嬢様。」
「まったく、どうしちゃったのよ、はねられてここに運ばれたから慌ててきちゃったじゃないの! そしたら、かすり傷ひとつだって。びっくりさせないでよ。」
近衛木乃香が気がつくと病院のベッドの上。そばにいるのは桜咲刹那神楽坂明日菜
「・・どうしたんやろ? 何や、天使見たいなのみはったんやけど…。」
「事故の衝撃でどうかしているんですよ。お嬢様。」
「そうよ。今日は絶対安静。明日、またお見舞いに来るから。」
と、二人はその場から退出してしまう。すると布団にもぐりこんでいる上村あやに声をかける。
「あやちゃんが助けてくれたんやろ? 」
呼びかけられて布団から這い出てくる上村あや。その背中には小さな光の翼が動いている。
「わたしのせいで…このかさんを不幸に…。」
「そんなことおまへんで。今からでも遅くはないえ。」
「そうですか? 」
「子供なのに考えすぎや。もっと子供らしく振舞ったらええんちゃう? 」
傍らで沸騰してしまい答えることができない上村あやをそっと抱きしめる。
「まったくお子チャマやなぁ…せっちゃんと一緒や。」
そんななか上村あやが近衛木乃香に尋ねてみる
「あの…そばにいても…いいですか? 」
「ええで。うちのこと助けてくれたんやから。」
「ありがとうございますっ!! 」
そういわれてにっこりしてまた布団に潜る上村あやだった。
それから何日かして、元気になった近衛木乃香にお客さんが。
「誰やろー。」
扉を開けると一人は上村あやなのだがもう一人はゴスロリ服を着た少女。
「この人は…。」
「レン姉さんだよ。」
「…はじめまして。あやちゃんが…お世話に。…これ。」
と、大きな包みを差し出す。中を開けるとケーキが。
「あ・・あのっ。レン姉と一緒に焼いたの。」
「うち、むっちゃうれしい、一緒に食べへん? 」
そういって上村あやとレンを部屋に招待する。
「・・・一人で暮らすには・・広い部屋。」
「んなことないえ。もう少ししたら同居人、かえってきはるんやけど…。」
しばらくするとどたばたと騒がしい音がして入ってきたのは神楽坂明日菜桜咲刹那
「お客様ですか? 」
「そや。」
「わぁー、おいしそうなケーキ! いっただきまーす! 」
「これはこのちゃんのために焼いたんだからだめ! 」
「何よー。こんだけあるんだからひとつくらいいいじゃないの! 」
「このちゃん…お嬢様に向かって何を! 」
ケーキをつまみ食いしたことに怒る上村あやを見て神楽坂明日菜とこのちゃん呼ばわりすることに怒りを隠せない桜咲刹那を見て諭す近衛木乃香
「まったく二人ともお子チャマやなぁー。」
「お嬢様! それだけは! 」
近衛木乃香にお子チャマ扱いされて沸騰する桜咲刹那
「・・お子チャマ・・納得。」
「何よー!! 」
レンにお子チャマ扱いされることに納得がいかない神楽坂明日菜
「まぁまぁ、アスナもおちつきぃ。そや、今からお茶をいれんと。」
そういってキッチンに向かう近衛木乃香だった。

補足
Never everのエヴァの夢の中に出てきた4人組の一人・上村あやが登場。
なので絡繰茶々丸とEvangeline.A.K.McDwellは知っています。
神楽坂明日菜桜咲刹那は知りませんが。


あと、彼女は正真正銘の天使です。


次回は絡繰茶々丸起動日だけど休載日に佐々木まき絵をやるか大河内アキラをやるか・・・
つーか、次の休載日知らないし(爆